【読了時間 約 12 分】
本記事でお答えしているお悩み
部下に厳しくフィードバックをするのに躊躇してしまいます。
嫌な顔をされたり素直に聞いてもらえなかったり、「辞めたい」と言われたら...と思うと、言うべきことが言えなくなっています。 上司としてフィードバックを行うことが大切なのは頭ではわかっていますが、いざ「言わなきゃ」と思うと色々考えてしまい、結局伝えられなくて気分が重いです。 どうしたらフィードバックをスムーズに行えるでしょうか?
何かコツがあれば教えてください。
経営層の方から
- 「厳しいフィードバックをするのがそもそも苦手… 」
- 「昔はガンガン厳しいことも言っていたけど、最近は言えなくなってきた…」
というご相談はとても多いです。
今回はご相談にお答えしてきた経験から「どの上司にとってもフィードバックする上で大切なポイント!」のエッセンスをお届けします。
本記事を『厳しく言えない自分』に向き合う機会にしてください。
自分に向き合いながら記事に書いてあることを実践していけば、部下に余計な葛藤無くフィードバックを行えるようになります。
その結果、仕事が円滑に進んでいきます。
さらに上司として部下の成長をサポートするスキルがアップします。
記事の信頼性を担保する情報
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部下に厳しいフィードバックを行うためのマインドセットと具体的な方法
今回のテーマは上司として部下に『厳しいフィードバックを適切に行うためにはどうしたらいいのか?』です。
あなたは部下の「感じ方」をコントロールすることはできない
まず大前提となる大切な考え方をお伝えします。
ズバリ『部下がフィードバックをどう捉えるかをあなたはコントロールできない』です。
どれだけ優しくフィードバックをしようが、厳しい内容のフィードバックをしようが、そのフィードバックをどう感じるかは部下の選択によるものです。
あなたが部下の感じ方をコントロールすることは不可能なのです。
コントロールしようとすることは無意味でもあります。
無意味どころか、これこそが「言わなきゃ...」と思いながらも色々考えてしまい、結局フィードバックできずに重い気分になる原因なのです。
フィードバック、それ自体に甘いも厳しいもありません。
まずは、この考え方を頭に入れて記事を読み進めてください。
そもそもフィードバックとは?
ボクの考えるフィードバックの定義は『客観的事実』を元に意見や評価を伝えることです。
例えば部下に次のような仕事を与えたとします。
部下(A君)への指示:社内会議で必要な資料制作
提出期限:9月20日
そして、実際に提出があったのが9月21日(提出期限から1日遅れての提出)だとします。
この場合『提出期限を1日過ぎている』というのが客観的事実です。
メモ
「客観的」を使った言葉に「客観的事実」があります。「客観的事実」とは「第三者からみた事実」を意味する言葉で、周りに知れ渡っている事実や、具体的な数字を用いて事実だと示せる状況で使用されます。
引用元 https://biz.trans-suite.jp/様 「客観的」の意味とは?対義語「主観的」との違いと類語を解説
この客観的事実を上司と部下の間で共通認識として、そこから1日遅れたことに対してあなたの意見や評価を伝える。
これがフィードバックです。
さらに「そもそもフィードバックとは?」を考える上で大切なポイントはフィードバックの目的です。
フィードバックの目的とは?
- 仕事を円滑にすすめる
- 仕事の質をより向上させる
フィードバックは仕事をより良くすることを目的としています。
『仕事をより良く』というのは多くの場合、時間の短縮や質の向上を指します。
もしくは、一緒に働く仲間の笑顔や顧客の笑顔が増えるといった心理的な満足度があがることを指すケースも考えられます。
つまり『フィードバックとは仕事をより良くするために客観的事実に基づいた意見や評価を与えること』です。
このフィードバックの結果、部下の成長が促されることは充分考えられます。
重要ポイント
部下の成長を促すためにフィードバックを行うのではない。
仕事をより良くするためにフィードバックを行う。
フィードバックを与えられた結果、部下が成長していく。
良いフィードバック、悪いフィードバックを知る
先程あげた例を元に良いフィードバック・悪いフィードバックを比較してみましょう。
部下(A君)への指示:社内会議で必要な資料制作
提出期限:9月20日
A君から提出があったのが9月21日(提出期限から1日遅れての提出)
悪いフィードバックのポイント
- 事実の確認が少ない
- 勝手に決めつけて話す(予想で話す)
- 人格攻撃(これはもはやフィードバックとは呼ばない)
- どう改善したら良いのか話し合いがなされない
良いフィードバックのポイント
- 客観的事実から話がスタートしてる
- 遅れた原因に目が向けられている
- 今後の対策が理由と共に伝えられている
フィードバックとダメ出しは全くべつのもの
すでにお気づきだとは思いますが、悪い例はそもそもフィードバックではありません。
ただの"ダメ出し"です。
しかし、フィードバックとダメ出しを混同してる人は案外多いものです。
ダメ出しを続けていると、部下の態度が悪くなります。
当然、伝えていることを真剣に聞いてもらえていないのがわかるので、上司は「さらに厳しく言わなきゃ」と思えてきます。
さらに厳しく言えば言うほど相手は余計ネガティブな態度をとります。
結果、「もう、あいつに言っても無駄だな」と思うようになり、諦めの気持ちがわき起こります。
フィードバックすることが嫌になってしまう一因には、フィードバックとダメ出しの混同があります。
その他に上司が部下に言うべきことを『言いにくい』と感じるのは、次のような原因が考えられます。
「部下に言いにくい」と感じている上司が持つ心理
仕事をより良くするためにフィードバックを行うだけなのに、なぜ上司は部下に「言いにくい」と感じるのでしょう?
本来、仕事を一緒に良くしていきたい!と思っていたら、むしろ「伝えてあげたい」と思うのが自然な気持ちです。
こう考えると「言いにくい」と感じるのは不自然な状態とも言えます。
上司の「言いにくい」の原因は
- ちゃんと聞いてもらえない
- 反論されることが予想される
- 不機嫌な態度をとられる
- 部下を傷つけてしまうと思っている
- 辞めると言われるかも(それが困る)
ではないでしょうか。(当てはまる項目はありましたか?)
これらは全て、フィードバックの反応(部下の感じ方、リアクション)がネガティブな状態になることを上司が勝手に想像しているだけに過ぎません。
そして、この想像の奥には「嫌な感じになりたくない」とか「嫌われたくない」という不安・怖れの心理が隠されています。
ということは、部下にフィードバックを行う際には、上司は自分の心に向き合う必要があります。
部下の感じ方や反応はコントロールできない。
もしかしたら嫌われるかもしれないし、感謝されるかもしれない。
ただ、それはどうでも良くて『「仕事をより良くする」という目的に真摯に取り組む覚悟があるのか?』と、自分に問う必要があります。
部下にフィードバックをするときの3つのステップ
それでは、具体的にフィードバックを行う際はどうしていったら良いのか?
簡潔に説明していきます。
STEP 1 客観的事実について自分の意見を整理する
まずはフィードバックを行う前に客観的事実について自分が何を考え、どんな気持ちなのか整理しましょう。
自分が伝えたいことが明確になっていないのにフィードバックをしても相手には伝わりにくいものです。
STEP 2「フィードバック」する前に自分の覚悟を確認する
嫌な想像をして、嫌な気分のままフィードバックをスタートしてはいけません。
自分が伝えたいことを明確にしたら、伝える目的を確認します。
相手のリアクションを気にしすぎてしまうのは、自分の覚悟が弱いことが原因ですから『相手のリアクションに振り回されるのでなく、良い仕事をしていくために伝える』
心からそう思えた!と覚悟を確認してからフィードバックをスタートしてください。
STEP3 フィードバックを実行する
とにかくフィードバックのスタートは「客観的事実」を共通認識とすることでしたね。
事実の認識にズレがあったままのフィードバックはフィードバックとは呼びません。それどころか不仲の原因にさえなります。
まずは「客観的事実」を共有し、そこからしっかりと意見を伝えていきましょう。
「部下に嫌われたくない」<「部下と仕事をより良くしたい」
本記事では一貫して「部下があなたの言葉をどう捉え、どう感じるかはコントロールできない」とお伝えしてきました。
部下のリアクションを勝手に想像し嫌な気分になる必要はありません。
あなたは上司として【仕事】をどうより良くするのか?にフォーカスして、人として対等性をもって対話していくだけで良いのです。
その結果、部下と共に成長していけます。
ぜひ、自分自身を信頼してフィードバックを行ってください。
最初は少し意識しなくてはいけないかもしれませんが、本文でお伝えした3つのステップを守ると部下にフィードバックを適切に行えるようになります。
慣れるまでは何度か本記事を読み返してもらえると嬉しく思います。
(フィードバックの良い例の部分を読んでイメージを膨らましてください)
フィードバックを適切に行えるようになると、仕事の進みを円滑にしていけると共に部下の成長をサポートするのが上手になります。
簡単セルフワークをご紹介
あなたがフィードバックに対してそんな考えを持っているのかを探っていくワークです。
オススメのセルフワーク
本来、フィードバックは愛のある行為です。
しかし、「言わなきゃ」と思うと色々考えてしまい、結局伝えられなくて気分が重い場合は、過去にフィードバックについて嫌な思いを抱いた経験があるものです。
自分がされて嫌だったフィードバックを思い出してみましょう。
そして、本記事のフィードバックの定義とどう違ったのか、じっくり考えてみてください。
あなたのフィードバックに関する思い込みを少しずつ変化させていくのがこのワークの狙いです。
ぜひ粘り強く実践してみてください。
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