「部下に厳しくしすぎたら嫌われてしまう」
部下を持つ方なら、誰しもが一度は頭の中をよぎったことがあると思うんです。
社長でも部長でも店長でも…
自分の大切な部下に嫌われる。これ、楽しいことでは無いですよね?
実際に、「部下に厳しくしすぎたら嫌われてしまう」と考え、コミュニケーションが滞ってしまった経営者や幹部の方からよくご相談を受けます。
部下とのコミュニケーションが滞ると、人材育成やチームマネジメントに影響していき、最終的には業績となって数字に出ます。
そのため、経営に関して放っておけないテーマの一つです。
好き・嫌いを気にするよりも、もっと大切なこと!
この記事では、上司が部下に嫌われてしまう理由を解き明かすと共に、具体的に「どうしたら嫌われなくなるのか?」をお伝えします。
さらには、好き・嫌いのベクトルではなく、仕事上で
『信頼』を軸にしたコミュニケーションをどう図っていけばいいのか?
についてお伝えします。
上司と部下のコミュニケーションで最も大切な基礎力が身につく
記事内でお伝えしている『嫌われる上司がやりがちな3つの間違い』を知るだけで、上司として“厳しさ”と“優しさ”の上手な使い方がわかります。
また、コミュニケーションスキルの基礎力が身につきますから、部下の指導やチームマネジメントにおいて、あなたがもっている仕事のノウハウが伝わりやすくなります。
ぜひ、記事を読んで現場で実践していってください。
嫌われる上司の残念な間違い!
結論からお伝えすると、
仕事ではなく、『人』に厳しくしてしまう上司
このパターンで部下に接していると、確実に嫌われます。
上司が管理する対象はあくまでも『仕事』なのです。
部下『個人』の管理ではありません。
取り扱っているサービス・商品のクオリティ(品質)についてであったり、販売(営業)・接客という業務やワークフローについて、厳しく管理するべきなのです。
「厳しくし過ぎたら嫌われてしまう」という思い込みを持っている上司は、『人』に厳しくしなくてはいけない。と、考えてしまっているのです。
『仕事』に厳しくと『人』に厳しく。
よく、混同されて考えられてしまいますが、似ているようで、全く異なることです。
『仕事に厳しく、人に優しく!』が上司が持つべき正しい考え方であり姿勢です。
『人に厳しく、仕事に甘い』上司のもとで起こること
『人に厳しく、仕事に甘い』パターンになってしまうと、その上司の下では、次のようなことが起こります。
- お客様離れ(失客)⇒売上げダウン
- 有能な部下の離職⇒組織力の低下⇒売上げダウン
売上げがジワジワとダウンしている会社やお店を観察してみると、大なり小なり『以前より仕事のクオリティ・水準が下がっている』という問題があります。
なぜ、このようなコトが起こるのか?
『人』に厳しくしていると、その組織の中には、厳しくされる人と、そうでない人(甘やかされている人)が生まれてしまいます。
厳しくされている人は「私ばっかり強くあたられている」と感じてしまうものです。
その結果、組織全体に『不平等』がはびこります。
『不平等な雰囲気』から、不平不満が生まれ、部下の間には陰口が飛び交うようになります。
陰口は無駄なことです。
無駄が増えてくると、社内で使われるべきエネルギーが分散し、利益を減少させてしまうのは当然です。
嫌われる上司がやりがちな3つの間違い
『仕事に厳しく、人に優しく!』から、上司がズレてしまい、部下に嫌われだすときには、どんなことが起こっているのでしょう?
よくあるのは、次の3つのパターンです。
①コミュニケーションにおいて真実を伝えていない
上司が部下に嫌われる一番の要因はまさにこれです。
「真実を伝えていない」
本来、上司と部下とのコミュニケーションには
- お客様に対して行うべきこと
- 部下の成長のために必要なこと
- 上司の考えと気持ち
これらを誠実に伝えるだけ充分なのです。
しかし、「これを言ったら傷つけるかなぁ~」とか、「これを言ったら嫌われるかなぁ~」と考えてしまい、シンプルに伝えるべきことを遠回しな言い方で伝えてしまう上司がいます。
知ってもらいたいのは、『真実を伝える』というのは、伝える側に「怖い」という感情を引き起こすものです。
それはとても自然なことなのです。
しかし、「仕事を一緒によくするために伝えよう!」という明確な意図を持つことよって、コミュニケーションがスムーズになるのです。
遠回しな言い方をする上司は、確実に部下に嫌われてしまいます。
なぜなら、『回りくどい伝え方』をされるのが好きな人はいないからです。
② 部下の話しを聴かず、自分の意見だけを伝えている
上司が伝えたいこと(目標や仕事の方法など)ばかりを話していて、部下の話を聴かないというのも嫌われます。
部下が、話しを聴いてくれない上司のアドバイスを聴くことは滅多にありません。
話しを聴いてくれない上司がいくら力説したところで、部下の目には、『自分が正しいことをしているというアピールをしているんだ』と映ってしまうだけだからです。
「考え」・「気持ち」を伝えあってのコミュニケーションです。
この原理原則を忘れてしまうと、上司が部下に嫌われるのは当然のことと言えます。
③ 自分の責任で話していない
「会社が~」
「社長が~」
「みんなが~」
このように、主語を自分(私は)ではなく、他人にして話すことの多い上司は嫌われます。
なぜなら、部下である聞き手に「この人はなんだか無責任だなぁ」と感じさせるからです。
部下とのコミュニケーションはこの3つを意識すればO.K!
部下とのコミュニケーションにおいて、N.Gがわかったいま、あなたが取り組むべきことは次の3つです。
- 自分の考え・気持ちを誠実に伝える
- 部下の話しを聴く
- 自分の責任で話す
上記の3つのことを意識して、部下とコミュニケーションをとってください。
この3つには『仕事に厳しく、人に優しく!』という仕事の基本姿勢を構築していく基礎がすべて入っています。
『嫌われるかも』が気にならなくなる理由
コミュニケーションの基本が身についてくると、あなたが大切にしている「仕事観」が部下に伝わりだします。
また、部下に対して、どんな“優しさ”を与えたら、相手が働きやすくなるのか?
自ずとわかってきます。(これは、体験でしか理解できないんです)
人間なら誰でも(個人差はあると思いますが)「嫌われたくない」という思いは持つものです。
しかし、上司が部下に対して、好かれる・嫌われるだけにフォーカスしていては仕事に支障をきたします。
かといって『嫌われるのも上司の仕事』という考え方も間違っています。
そんなこと、思う必要もありません。
『顧客の役に立つような良い仕事をしていく』ために、信頼関係を育むコミュニケーションが必要なのだけです。
自分のコミュニケーションパターンを変える一番簡単な方法
- 自分の考え・気持ちを誠実に伝える
- 部下の話しを聴く
- 自分の責任で話す
と、まずは紙に書いてみてください。
次に自分で1~3の各分野を5段階評価してみてください。
その中で数字の高かった一つのテーマにだけ集中して、21日間自分のコミュニケーションに意識を払ってください。
これ他の2つのテーマにも繰り返していきましょう。
コツは、一気にすべてのテーマについて取り組むのでなく、一つずつ着実にこなしていくことです。
コミュニケーションというのは、個人の習慣からできあがっています。
そのため「パターン化」されたものです。
パターン化されたものを変化させるときには、焦りは禁物です。
長い年月をかけてつくられたものを、あまりに急いでも本質的な変化は起きません。
無理の無い範囲で、じっくりチャレンジしていってください。