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こんな方のための記事
私は経営者セミナーなどの勉強会が大好きです。そこで学んだことや自分が素晴らしいと感じたことを部下たちに伝えて実践させようとするのですが、なかなか共感してもらえません。どうすればうまく伝えることができるでしょうか?
本記事は「経営セミナーで学んだことを部下と共有したい」とか「部下にも自分と一緒に学び、成長してもらいたい」と感じている経営者・幹部の方のための記事です。
この記事を最後まで読んでもらえれば、経営者・上司がセミナーで学んだことを部下に話した時の"リアクションが良くない理由"がわかります。
さらに、部下を巻き込むためにはどのようなマインドセットを持ち、具体的にどのように行動すればよいのかをお伝えしています。
記事の信頼性を担保する情報
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経営者がセミナーで学んだことを部下に共有し実務に落とし込む方法
「セミナーで学んできたことを実務に活かしたい」
経営者でなくとも、部下のいる方がセミナーなどで学習したらなら、みな同じ気持ちになりますよね。
しかし、部下に上司がセミナーで学んだことを部下に伝えると「嫌な顔をされる」というのは、実は”あるある”なのです。
嫌な顔まではされなくても「あれ?なんだかノッてこないなぁ」と感じたことのある方は多いのではないでしょうか?
特に自分と近い関係性の方(経営者と幹部というような)ほど抵抗感を示すというのは、どこの会社でもよく聞く話です。
セミナー好き経営者の下にはセミナー嫌いな幹部(部下)のいる理由
なぜ経営者が学んできたことを部下に伝えても、良いリアクションが返ってこないのでしょう?
結論からいうと「あなたが『素晴らしい』と思ったことが、部下にとっても『素晴らしい』とは限らない」からです。
たとえばあなたが、パクチーが大嫌いだったとして、一緒に食事に行った友達から「ここのパクチーだけは違うから食べてみて!」と言われたとしましょう。
あなたは「じゃあ食べてみよう」って思いますか?
きっと「いや・・やめとくわ」ってなりませんか?
断り切れないときでも、けっしてワクワクはしませんよね?
ちなみに僕なら、絶対食べません(笑)
実はセミナーなどであなたが得た学びや気づきを部下にそのまま伝えることは、これとほぼ同じです。
あなたが”良い!”と思ったものを部下が同じように良い!とは思ってくれない理由
自分が学んだことや気づきを得たことを大切な仲間と共有したい。
できれば同じように大切なことだと気がついてもらいたい。
こう感じる経営者さんの気持ちはよくわかります。
しかし、伝え方や日頃の行動が原因で上手に共有できないことがあるのも、これまた事実です。
ボクが経営者さんからご相談いただいて「あっこれが原因だな!」と感じる代表的な3つの抵抗パターンを紹介します。
①熱く語れば語るほど逆に部下が引いてしまう
一つに伝え方が問題のケースがあります。
問題となる伝え方とは「温度差」が生まれるような伝え方です。
「セミナーに参加してとても勉強になった!」という状態は、脳が興奮状態にあると言えます。それがセミナー翌日ならまだまだ冷めやらぬことでしょう。
興奮が冷めてない状態のまま話してしまうと、部下には”熱くなっている”ことだけが伝わってしまい、あなたが本当に伝えたかった有用性がうまく伝わらないという現象が起こります。
さらに、そのセミナーテーマにそもそも部下が興味を持っていなかったら!
なおさら部下のリアクションは冷めたものになります。
あなたにもありませんか?
自分が興味の無いことを興奮状態で話されて、逆に冷静になってしまう時が。
②人間は自分で「選択した」と感じたものに価値を感じる
人間は「自分で選択した」という実感をともなう時に価値を感じます。
セミナーに参加した経営者は課題が明確で、学びたい理由もハッキリしています。
その前提があって、自分で参加を選択しているセミナーだから価値を感じるのです。
部下はあなたと同じように会社や自分自身の課題を直視していますか?
また、理解していますか?
さらに、そのテーマについて学ぶ意欲がある状態ですか?
もし、課題を理解していない。とか、課題はあるけど話てきたセミナーの内容とは関係ない。
と部下が感じていたなら、どれだけ学んだ話を伝えても共感は生まれません。
部下の頭の中では『自分には関係のない話』というカテゴリーに入るだけです。
③経営者が学んだことを実行・継続していないから、冷めた態度で見てる
セミナー好きの経営者さんには一番耳の痛い話になるのですが、あえてお伝えします。
「学び」自体が好きな方がいます。
常に何かしら学んでいることがある。その学ぶという行為自体がその人のエネルギーになっているような方です。
これは、ハッキリ言って才能です。
しかし、いつも学んだことについて聞かされている部下からしたら「またいつものか…」となります。
さらには、あなた自身がセミナーで学んだことをどれくらい実践し、現場に落とし込んでいるのか?
部下は無意識のうちに厳しくチェックしています。
もし「学んだことはいつも話してる。けど、あまり実務に活かしていない。そもそも実行に関しては三日坊主だ」という状態が多いと、「あの人の学びは趣味みたいなものだから」と思われている可能性がとても高いのです。
特に注意すべきは...
主に①~③が原因となって、セミナーで学んだことを社内で共有しようとしても、部下に共感されず実務に落とし込めないということがあります。
また、経営者が学び「これいいぞ!」と思った内容をしっかり部下に理解してもらうための対話を充分にせず、勢いで「やろう!」と話した場合は最悪です。
なぜなら、その内容を実行する部下からしたら「ただ、やることが増えるじゃないか!」と感じるからです。
このケースが繰り返されると、部下から反発の態度が出ることがあります。
その時は「他人(講師)の話は聴くのに、現場や業務のことを知ってる私の話は聞かないのか!」と、部下は感じ、根深い人間関係の問題に発展していきます。
これだけ守れば経営者がセミナーで学んだことをスムーズに部下に共有できる
ここまでは、なぜ共感されないのか?その理由を明らかにしてきました。
原因を明確にすれば正しい対処法を選択することができます。
あなたが学んだことに共感を引き起こし、実務として共有するための方法は至ってシンプルです。
先ほどお伝えした内容と逆の行動を選択すれば良いのです。
一つずつ確認していきましょう!
① 部下には伝えたい内容を熱く語りすぎず、冷静に小分けにして伝えていく
部下と一緒に学び、実務に落とし込みたいほど、時間を充分かけて伝えてください。
それも、一回で多くの情報を伝えるより、毎日少しずつ伝えてください。
時間をかけて伝えていけば、部下にも徐々にあなたの真剣さと言ってることの大切さが伝わります。
これはテレビCMで狙う効果と同様の手法です。
聞き手に対して情報の接触頻度を増やし、少しずつ相手の脳内に情報を浸透させていくわけです。
熱量だけで押し切るより、後々のことまで考えたら確実にあなたにとっても部下にとっても有益な状態をつくりだせます。
② 部下の選択を尊重する
まずあなたは『部下の選択を尊重する』と決めてください。
その上で『自分の伝えたい!』という気持ちを一旦脇において、部下にあなたの伝えたいテーマに対しての興味関心を持ってもらうことを第一に考えてください。
部下に興味をもってもらうためには『課題』を共有することです。
課題とは「これをクリアしたら、もっと会社が良くなる!」というテーマのことです。
その課題を共有するために対話しましょう。
「〇〇がいま、この会社の課題だね」とか「□□が自分自身の課題だよ」と言った具合に、話合ってください。
課題が共有されたら、自然と意識は解決策に向きます。
そうなって初めて、部下はあなたがセミナーで得た学びや気づきのシェアが大切だと理解できるのです。
③ 学んだことは実務に落とし込んでいく
英語には"Actions speak louder than words.”ということわざがあります。
日本語で”行動は言葉よりも雄弁”という意味です。
Aさん:セミナーに行って興奮してる人
Bさん:セミナーに行って学んだことを実直に行動し会社にポジティブな影響を与えている人
Aさんん・Bさん、どちらの言うことなら、人は素直に聞くか?
あなたもボクもBさんですよね。部下もきっとBさんです。
部下に信頼され、応援される行動を積み重ねるしかありません。
まとめ
繰り返しますが「あなたが『素晴らしい』と思ったことが、部下にとっても『素晴らしい』とは限らない」のです。
その理由はたった一つ。
あなたと部下では「前提」が違うからです。
だからこそ、共感しあえる前提を大切にしましょう。
対話を通じて部下の学習意欲や課題を把握しておくから共感しあえる前提がつくれます。
そして、自分が日頃から学んだことは着実に行動として積み重ねる。
積み重ねた行動こそがあなたの言葉に重みが出る理由です。
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セミナーや研修で学んだことを部下に伝え、共感を生み出すためには『学んだ内容』から『部下の立場』に視点を移す必要があります。
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あなたの学んだことや気づきが部下にシェアされると、あなた、部下、そして会社全体が良くなるスピードが一気に早くなります。
オススメのセルフワーク
次の3つの点をリストにしましょう!
①抱えていた課題
②学んだ点、気づいたこと
③嬉しかった・感動したなど、感じた気持ち
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