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こんな方のための記事
「仕事を部下に任せなきゃいけないのはわかっているけど、もしクレームが起こったら…」とか、「部下に任せたいけど、誰に何を任せるべきなのか?いまいちスッキリしない…」
このような悩みを抱えている経営層・管理職のための記事です。
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「上司は部下に仕事を任せるべき」が大前提となっていて、その方法を紹介しているサイトが多いようです。
しかし、ボクは「上司は部下に仕事を任せるべき」という前提に少しだけ疑問を感じています。
なぜなら、仕事内容や人によって任せるという選択が正解にもなれば、そうでないこともあるからです。
ボク自身、経営者や管理職のクライアントさんから『なかなか仕事を部下に任せられない』と相談されるたびに、「その仕事、本当に任せる必要があるのかな?」とか「本当に任せたいと思っているのかな?」と感じることが多々ありました。
この違和感の原因は"任せるべき論"が経営層の頭に刷り込まれていることだと気がつきました。
ボクは違和感を感じるたびに、クライアントの「本当の想い」をヒアリングしました。
- 本当に任せたいと思っているのか?それとも任せなきゃいけないと思っているのか?
- 「任せられない」に潜む心理的な問題は何だろう?
- もし、任せるならどのように任すのがベターなのか?
実際にクライアントと対話し解決してきたテーマのエッセンスをお届けします。
記事の信頼性を担保する情報
- 1,000人以上の人間関係に悩む経営者・幹部にエグゼクティブ・パーソナルセッションを実施
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本当に上司は部下に仕事を任せる”べき”なの?
今回は『仕事を任せるべき』という前提から改めて考えてみましょう。
また、部下に仕事を任すためには「何をどう考えたら良いのか?」という根本的なテーマについて書いていきます。
この記事を一読していただければ部下にどの仕事を任せるべきで、どの仕事を任せない方が良いのか?
いまよりずっとストレス無く選択できるようになります。
つまりは「上司は部下に仕事を任せるべき!」という世間の風潮に流されず、仕事をどんな理由で任すべきなのか?自分自身のベストな判断を下せるようになります。
上司が部下に仕事を任せる前にやることは基準づくり
上司が部下に仕事を「任せる」・「任せない」と悩む前に絶対的に大切なことがあります。
それは仕事を任せるべきか、そうでないのか?
上司自身が安心して判断するためので『判断基準』を創ることです。
仕事を任せるための『判断基準』が曖昧なまま、「任せようかな、どうしようかな?」と悩むのはストレスの原因にもなります。
また、当然ながら仕事の内容や先方(取引先・顧客)などの状態によって、任せて良い仕事とそうでない仕事が存在しますよね?
大切なのは「部下に仕事を任せなきゃ!」と気負うことではなく、うまく任せられないと落ち込むことでもなく、任すべきかどうかを判断するために自分が納得できる基準を設けることなのです。
仕事を任せるのが上手な人ほど"任せない"のも上手だった
ボクは仕事上、多くの経営者・責任者の方にお会いしています。
そこで気がついたのは、チームに活気をもたらすのが上手な責任者は、みな「部下に仕事を任せるのが上手」ということです。
しかし、同時によくよく観察していくと彼らは"仕事を任せない"のも上手だったのです。
これ"任せられる仕事を然るべき人に任せている"ということです。
なので重要な仕事を部下に任せる時はとても慎重でした。
(指示の出し方、仕事の振り方もとても丁寧です)
また、特定の仕事に関しては部下に任せることをせず、自分でその仕事を完了させることも少なくは無かったのです。
つまり仕事を任せる際には明確な基準を設け、その基準に照らし合わせて「任せる」ことを選択していたのです。
さらに言えば、その基準を部下に教えていたのです!
部下に仕事を任せる基準を制作するための4つのポイント
それでは、あなたが部下に仕事を任せるための基準創りのために、絶対に押さえておきたいポイントを4つご紹介します。
仕事の難易度で任せるか任せないかを決める
ここでは仕事の内容からみた"難易度"について考えます。
部下に任せたいと思う仕事の難しさはどれくらいでしょうか?
難易度と言っても色んな意味合いがありますよね。
例えば、工程数自体が少なくわりと短時間で済む簡単な仕事もあれば、一つ一つの仕事は難しくないけど工程数自体が多くとにかく時間がかかる仕事もあります。
また、充分な経験があって初めてできる仕事もあれば、そもそも特別な技術を必要とする仕事もあります。
あなたが部下に任せようと思う仕事の難易度が明確になれば、どのパートを任せることが可能で、どこを任せるのは"まだ早い"とするのかが明確になります。
仕事の重要性で任せるか任せないかを決める
『絶対にミスは許されない』という仕事もあるかと思います。
例えば、売上のキーマンになっているような顧客を相手にする仕事であったり、気難しい顧客を相手にするような仕事のことです。
当然どんな顧客相手でもミスは許されないし、顧客に迷惑をかけたり哀しい思いをさせたくはありません。
とは言え、現実的には関わる人(会社)には優先順位が存在しています。
仕事の重要性はあなたの会社と相手(顧客・取引先)との関係性から生まれるものです。
この優先順位を明確にすることによって、任せることが可能なのかそうでないのかが明確になります。
部下の仕事の成熟度で任せるか任せないかを決める
仕事に対して部下の成熟度(力量)はどうでしょう?
その仕事の目的は理解していますか?
その仕事に対する知識は充分でしょうか?
「経験が足らないことはわかっている。それでも、経験していかないと仕事にならない。」
このような理由から考えても、部下に仕事を任せていくのは当然です。
しかし、上記のような場合には部下にサポートとなる人をつけてあげるのも必須になりますよね。
また丁寧な指示出しも必要となります・
逆に、もし充分な経験がある部下に「任せられない」とあなたが感じているなら、ひょっとしたらあなたが部下に対して「過保護になっているだけ」という可能性も疑う必要があります。
部下の仕事の成熟度を客観的な目で計測するのも上司の仕事です。
あなたが部下に任せようと思う仕事の重要性をどう位置づけているのか明確にし、部下に伝えておくことはとても大切です。
それは仮に仕事を任せたとして、報告頻度や報告内容にも影響するからです。
部下の約束を守る力を見て任せるか任せないか決める
このポイントは上記3つのポイントに対して客観的判断をおこなった後、最終チェックすべき重要なポイントです。
「信頼できるか人間かどうか?」
どれだけ能力があっても、経験があっても信頼できなければ、仕事を任すことはできませんね。
では、仕事を任せる時に信頼すべき点とはどう判断すれば良いのでしょう?
それは日頃から部下が『約束を守ること』にどれだけ重きをおいているかで判断するのが正解です。
ちょっとした約束などを守ることに、どれだけ責任感を発揮しているかをよく観察して判断していくしかありません。
あくまでもボクの経験則からですが『約束を守る』というのは、概念の問題で大人になってから急に身につくようなものではないと思います。幼い頃からのしつけが大きな影響を及ぼしていることで、仕事のスキルより(大人になってからは)身につけるのが難しいことだと感じています。
顧客や取引先に直接関わる仕事は、特に『約束を守る力』が必要ですね。
あなたにとっての「仕事を任せる」の意味を明確にしていく
まとめると、仕事を部下に任すべきかどうかを判断する前に、上司は『判断基準』を設ける!が最も大切なことでした。
『判断基準』づくりは次の4つのポイントの総合点から創られます。
- 仕事の難易度で任せる任せないかを決める
- 仕事の重要性で任せる任せないかを決める
- 部下の仕事の成熟度で任せる任せないかを決める
- 部下の約束を守る力を見て任せるか任せないか決める
任せる前にこれらのポイントに対して、あなたがどう考え感じているのか?
それこそが基準の元となります。
仕事を部下に「任せる」・「任せない」の判断軸を創る時に最も大切なことは、結局のところ「あなた自身がどれだけ仕事を分解してわかりやすくしているのか?」です。
と、同時に「なぜ任せたいのか?任せられないのか?」という理由を明確に、部下に伝えることが大切なのです。
そう、上司であるあなたと部下との『対話』が何よりも大切という意味です。
「任せたいけど、なかなか任せられないんだよなぁ」という葛藤は基準が無いこと、その基準を伝えていないことの2つの理由から発生することを覚えておいてください。
簡単セルフワークをご紹介
時間をとって、自分の仕事を整理し仕事を任せるために『判断基準』を考えてみましょう。
整理しやすいようにシートをご用意しました!
下記からダウンロードしてご利用下さい。
オススメのセルフワーク
シートは4つの質問項目からできています。自分が思っていることを率直に記入していきましょう。
自問自答シート-部下に仕事を任せる"判断基準"を明確にする!
書き終えた時には、あなたが仕事で大切にしていることが直感的に理解できます。
と、同時に仕事を任せる基準が明確になり、部下への説明もシートにそって話していけなスムーズになるでしょう。
ぜひ、自分自身に向き合ってみてください。
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